くまその筋トレ徒然草

私くまその筋トレの様子や、何かのコンテスト出場を目指したり、筋トレと関係ないことを書いたり、いやらしいことを考えたりするブログです。

徒然草「果てなき渇望」

「自分はただひたすらに大きくなりたい。天から与えられた身体を、自分の意志の力で変えていく。筋肉を1センチ肥大させることで自分が神に近づけるわけではありませんが、少なくとも自分の肉体という小宇宙を創造することができる。
たとえ後遺症が襲ってきてもかまわない。
どんな手段を使っても、限りなく肥大した筋肉を手に入れたい。ただ、それだけなんです。」


タイトルの付け方が秀逸すぎる名著「果てなき渇望」は、超マイナー競技であるボデイビルと、ボデイビルに取り憑かれた人々のを描いたノンフィクションの作品です。
冒頭の言葉は、大会では禁止薬物であるステロイドを使用してまで筋肉を増やそうした、阿部、という人物の言葉です。
この阿部という人物のモデルは山本義徳さんというボデイビルダーで、ダルビッシュのトレーナーをしたりする超一流のトレーナーであり、今ではYouTubeで動画を配信したり、サプリメントの開発をしたりしていらっしゃいます。上記はそんな山本義徳さんがバリバリ現役の頃を取材する中で出てきた言葉。
ステロイドを使用すると日本の老舗団体、JBBFの大会には出られません。
そんな山本義徳さんがボデイビルの最高峰、ミスターオリンピアを目指して居た時のドキュメンタリーが残っていますので、此方に貼っておきます。此方も素晴らしい出来。



私は筋トレが勿論好きですが、その何倍もお酒が好きですし、西船橋のピンサロも大好きです。
突然の西船橋ピンサロLOVEをカミングアウトされても困ると思うのですが、私はお酒や西船橋のトモエちゃんを愛してしまっているので筋トレだけに全神経を注ぐ事はありません。しかし、筋トレというのは中毒性が有り、努力で体が変化する喜びに取り憑かれるという感覚は良くわかります。
そして冒頭の言葉は、そんな筋トレの中毒性を素直に言語化したものとして素晴らしく、純粋さと狂気を感じる言葉として、私には深く印象に残っている言葉です。
大きくなりたい。それだけの為に人生の全てを注ぎ、後遺症の恐れがあるステロイドを使用するに至る迄、筋肉を肥大化させる事に取り憑かれる。
非常に目的がシンプルであり、純粋に目的に対してアプローチをするが故に、客観性を失い、周りからすると異常としか言えない行動をしてしまう。特にボデイビルを本気でやっている人は、ジムでのトレーニングに加えて筋肉を大きくする為、食事、睡眠と、生活の全てを捧げます。故に、社会生活、人間関係にかなり影響を及ぼす可能性が高い。
筋トレやボデイビルというのはそうした側面が有る為、スポーツというよりも、自分という作品を作り上げる一種の芸術や創作に近いものがある様に感じます。

健康になったり、気持ちが前向きになるなど筋トレには良い側面が沢山あります。
ただ、筋トレに取り憑かれるがあまり、色々なものを失ってしまう可能性が有る、筋トレはちょっと怖いよね、というお話でした。

そしてまあ、確かに怖いのですが、人生の全てをかけて筋肉を肥大させる事に取り組む人達の生き方を、私は純粋に美しいと感じています。

最後に、果てなき渇望に出てきた名言を、いくつか紹介しておきます。
女性ビルダーの言葉なんかも凄いよなあ。


「私は、文化や常識や道徳やルールに守られて価値を認められているのは脆弱だと思っています。何を美しいと感じるかは文化や人によって違いますが、人間が国境や文化をこえて求めるのが力と強さ、美しさではないでしょうか。そこでは一目見て普通とは違う過剰が、魂を揺さぶるはずです。そう考える私ですから、ステロイドを使ったボディビルコンペティターになったのです。」

「ボディビルはおもしろいんです。ボディビルは数学の方程式を解くのに似ている。正しいやりかたで順序立てて解析すると、必ず正解にたどりつく。ボディビルは化学でもありますね。
いろんな要素を化合させると、まったく新しいものが現れる。知識を実行に移す喜びは学問と同じことだと思います」

「陸上の世界では、11秒台で走っている選手が10秒フラットで走るのはいくら努力しても不可能なんです。自分は、そんな時にボディビルと出会った。ボディビルは、やればやるだけ、努力の分だけ必ず何らかの反応が現れるんです。
走る記録には限界があるけれど、筋肉を鍛えるのには限界がない。バルクを得た後はディフィニッションやカットというように、いくつも磨く要素ができてくるんです。」

「基準は生理ですよ。生理があるうちは、まだ甘い。生理が止まったということは、私の体から女性に必要な脂肪がなくなったということなの。言い換えれば、私は女でなくなることでコンテストで戦う身体を手に入れるわけ。
皮下脂肪を取るために充分なカロリーをとってないうえに、毎日トレーニングで身体にストレスを与えているわけだから、生理が止まるのも当然なんですけど」

「垂直上昇志向というか、どれだけ他人より優れた力を持っているか、重いものを挙げられるかに興味が集中しました。数字というのは便利なもので、大きな励みになるんです。
偏差値を競う受験勉強と同じですね。思い返せば、小さな頃から力に対する信仰のようなものがありました。」

「崇高、孤高、克己といった言葉に魅力を感じます。のどかに夢を語るのではなく、それが実現困難なものであっても力を尽くして到達する努力を続けていきたいんです」

ボディビルダーは一種の病気、筋肉鍛錬依存症ですね。トレーニングしないと不安なんです。僕の場合は、身体を鍛えることでいろんな社会のしがらみから救われていました。ボディビルダーにとって減量や家族の犠牲、食事の苦労、社会性のなさなどは、それだけ自分がトレーニングに没頭しているという勲章ですよ。突き詰めれば自慢話なんです」




ではでは。ベロベロばあ。